効率的かつ情熱的に。体系だった研修の仕組みが、店舗運営に生きる。

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「地域ナンバーワンのプライドを護り、磨き上げる」ことを推進している『UNJOUR MINAMI(アンジュールミナミ)』。今回は店長の池田さんに、入社後の新人スタッフへの研修体制や育成方法などを取材。未経験からでも活躍できるように、どのような研修体制と仕組みづくりをされているかを語ってもらいました。

可視化された、着実に成長を促進できる仕組みを構築。

──『UNJOUR MINAMI』で実施されている研修の内容を教えてください。

まず、「誠実さ」を軸にした採用を行います。内定を出し、入店が決まったら、初日に当グループの理念や歴史や、雇用契約書の詳細な内容を説明する「受入研修」を実施。さらに働くメリットや、信用を失うようなNG事項もしっかりと伝えます。その後、マンツーマンの指導で、「グラスの置き方」といった基礎的なことをレクチャーするという流れです。簡単なオペレーションの実務を通し、頭だけではなく身体と感覚で仕事を覚えてもらえる仕組みを整えているのが、当店の特徴です。

口頭で丁寧に説明するのは大前提ですが、それでは適性を推し量るのは難しいところがあるので、実践の動きなどで向き不向きを把握するようにしています。適性判断後は、ホールの「補充」や「提供」などを任せますが、一人きりにすることはなくマンツーマンで指導する体制です。ホール経験を経て、「フロント」「キッチン」など、その人材が輝く部署を見定めます。なお、教育係は当店で社歴を重ねたアルバイトスタッフの中から選抜されています。

──適性を見定めた後は、どのような評価制度に基づいて育成されているのでしょうか?

ABCの基準を設け、客観的に評価するフォーマットを用いています。「トイレの案内」「提供物の順番を間違えない」「お客様への丁寧な対応」など、詳細な項目を定期的にチェックすることで、着実な育成を促進しています。フォーマットを閲覧すれば新人も、少し経験を積んできたスタッフであっても「どこで壁を感じているか」が可視化されるので、本人にとって“腹落ち”する的確なアドバイスを行うことが可能です。また、「本人はA判定と評価しているが、客観的にはB判定」というケースも出てきます。その場合は、「なぜギャップが生まれているのか?」「その齟齬をどのように解消すればいいのか?」を、論理的に改善に導くようにしています。

研修でのレクチャーが行き届き、店舗の活気も最高潮に。

──研修を実施する際、最も重視しているポイントは何ですか?

元気の良いスタッフを育成し、「店舗の活気」を保つことです。例えばお客様が来店されたときは、「いらっしゃいませ!」とみんなでお声がけを行い、退店される際には「ありがとうございました!」と笑顔でお見送りをしています。来店されたときの熱気ある空間の演出や、退店されるときに感謝の気持ちを伝えることを大切にしています。オペレーション上の問題では上の社員がフォローに回ることもできますが、かけ声はその瞬間に求められるので、常に緊張感を持っていることが重要です。

──「活気ある空間の醸成」のため、具体的にどのような研修をされているか教えてください。

「元気な挨拶ができなかった」といった場合、まずは指摘をします。それでも改善が見込めないときには、「次の日のロープレに取り入れ、全員でやってみる」「終礼での全体共有」など、意識を向上させるための施策を行っています。とはいえ「活気ある店舗」にするには、その場の雰囲気や流れも影響しますし、忙しくなるとどうしてもおざなりになりがちです。それを沈静化するための行動や、ポイントを抑えた判断をするのが運営における重要なミッションになります。

なお、新人研修については、「教育係とのマンツーマンでの振り返り」に加えて、それとは別に採用担当者なども参画した「振り返り」を実施。2つの視点からヒアリングすることで、新人スタッフの本音を引き出すようにしています。また、話を聞いてくれる相手が複数存在することで、「働く上での安心感につながっている」と好評です。

──研修内容を決めたり、改善したりする際、何を最優先に考慮されていますか?

第一は「お客様からの声」ですね。それが個人的な不満であれば、それぞれのスタッフが個別対応することで解決を図ることができます。しかし、例えば「特定のアイテムの提供が遅い」という声が全体的に上がっている場合は、研修内容や仕組みごと改善する必要が出てきます。提供が遅いのは「お客様にご迷惑をかけないよう複数回チェックしている」といった理由なのですが、そのフローを簡素化することでスピードアップを実現するのです。

次の優先順位は「ホステスの声」になります。ホステスはお客様からのニーズを直接拾ってくれるので、彼女たちの意見は大変貴重です。

新人スタッフが指摘ひとつで変化。自ら周りを鼓舞するように。

──研修の末、スタッフの成長を実感できてうれしかった瞬間はありましたか?

役割が付与されることで自覚が生まれ、成長につながる様子をたくさん目にしてきました。その結果「社員になって当グループで頑張りたい!」という、モチベーションに溢れたアルバイトスタッフが出てくると、うれしい気持ちになります。

あとは、それまでお客様へのお声がけが苦手だった新人スタッフが、指摘ひとつで考え方や仕事に対する向き合い方が変わり、「頑張って挨拶をしていこう!」と自ら周りを鼓舞している姿を見たときは、胸が熱くなりました。

──研修で「口を酸っぱくして伝えていること」はどんなことでしょうか?

何かハプニングなどが起こった際に、隠してそのままにしないことです。例えば「グラスを割ってしまった」「ドリンクをこぼしてしまった」ことで、お客様にご迷惑をかけてしまうといった出来事は、避けては通れません。そんなときに、すぐ社員に共有することを徹底してもらい、社員がスピーディーかつ的確に対応することで被害を最小限に食い止めることができるのです。そして、アルバイトスタッフからも必ず「謝罪の言葉」を伝えるようにしてもらっています。万が一隠したままにしてしまうと、信頼関係が瓦解してしまうので、ミスを責めるのではなく「報告しないこと」を禁じています。

──研修実施後のフォローアップやサポートについて、および今後の展開についてお聞かせください。

常日頃からのサポートや、終礼など定期的なアフターフォロー、さらに1ヶ月ごとに振り返りの機会を持つようにしています。今後の展開については、組織の拡大に伴い「人事担当者の増員」など、組織強化が急務です。組織が盤石になることで、組織全体がさらなる飛躍を遂げると期待しています。