みっちりとした研修を受講し、業務の基礎を身につけてから配属されるのがカイザーグループの黒服スタッフの特徴です。今回は、入社してから黒服デビューするまでの流れや教育方針などを、祇園エリアの採用や人事をはじめ、多方面で活躍中の小山さんにお話を聞きました。
体系だった教育カリキュラムで、着実にスキルアップ。
──新しく黒服として入るスタッフが、接客を任せられるまでの流れを教えてください。
最初にカイザーグループの歴史や仕事に対する考え方、エリアごとの特徴などを学ぶ座学研修を実施。また、地域ナンバーワンという高みを目指しているので「洗練されたサービスの重要性」「その対価として高収入をいただいている」ことを浸透させるために、礼儀礼節の大切さを徹底して叩き込みます。そこからフロアスタッフの実務を身につけるために、20日間の研修がスタート。
30項目にわけて、ステップバイステップで教えていくカリキュラムがあるので、着実に仕事を覚えていくことができます。教育係にあたるメンターもいるので、わからないことはすぐに聞ける環境です。ちなみにその間は、客席に出ることはありません。研修後に、業務内容を習得して「任せても大丈夫」という評価が出てから、黒服デビューになります。その頃になると、業務上での強みなどがだいたいわかるので、「フロント」「ホール」など、適性に応じたポジションに付いてもらいます。
──お客様の前に出る段階で、小山さんがこだわって教えているポイントがあれば教えてください。
言葉遣いには、うるさい方だと思います。お客様からのオーダーに対する「かしこまりました」や、ねぎらいの言葉に対して「恐れ入ります」という接客用語は絶対です。営業中は終礼まで敬語のみという環境を厳守し、くだけた表現の言葉が出ないように、その都度伝えています。「お客様は経営者や社会的に影響力がある方です。そうした方に見られている職業であることを意識してください」という心構えは、姿勢や振る舞いでも言葉でも念入りに伝えています。
──小山さんご自身が接客中に「対応に困った」というエピソードはありますか?
これは黒服全員が経験していることだと思いますが、お酒に酔っている状態のホステスさんが「シャンパンを入れて」と言っている中で、お客様を見ると「首を横に振っている」ような板挟み状態のときですね。注文を通すのか、提供しないのかのジレンマがあります。お支払いをするお客様のお考えが第一ですが、ホステスさんが裏側で頑張っていることを知っているだけに悩みましたね。結局、そのときは「提供しない」を選択したのですが、後日お客様からもホステスさんからも「正解だったよ」と言葉をかけてもらいました。もちろんお店としての解決策もあり、一度ホステスさんに席を外してもらってから、責任者がお客様と直接お話をする方法があります。とはいえ、そのときのことは今お話していても、冷や汗が出そうなくらいヒヤッとする経験でした(笑)。
楽をせず、素直に改善し続けることが成長への近道。
──お客様に喜んでもらえたエピソードを教えてください。
ゴルフが大好きなお客様の誕生日のときに、ゴルフ場のグリーンを模したパンケーキを提供するサプライズを演出し、喜んでいただきました。また、最近足が遠のいていたお客様の誕生日にキープボトルをプレゼントしたところ、「また通わなあかんやん(笑)」と冗談を交えながら、笑顔で「ありがとう」と言ってもらえたことも記憶に残っています。日常的なところだと、名前でお呼びしたときや「いつものホステスさんをご指名ですね」とお声掛けするなど、「特別なお客様」であることを自然に伝えることで、お褒めの言葉をいただくことは多いんです。
またお客様に喜んでもらうためには、各店舗を「コンセプト通りに運営する」ことが大切です。「カジュアルさ」「接待向けの高級感」といったお店独自のカラーを打ち出すことで、ブランディングに繋げています。非日常的な空間を演出し、すべてのお客様の満足度をさらに高めていく方針です。
──スタッフの教育や指導で重視していることは何ですか?
「相手の長所を活かすこと」を一番に意識しています。あとは、業務を覚えるごとに「褒める」ことも欠かせません。重視しているのは「効率化よりも、成果を追求すること」ですね。楽をしようとせずに助言などを真正面から受け止め、「次の日からの業務がスムーズになった」といった成果を評価しています。この仕事は毎日が改善の連続なので、素直に取り組む姿勢は大切です。
それ以外で実施しているのは、「思いっきり遊ばせること」でしょうか。営業中は張り詰めた緊張感が求められるので、緩和するためのガス抜きはしっかりしています。先日は営業後に当店の一室に集まって、カラオケ大会で盛り上がりました。こうしたレクリエーションは、もちろん自由参加なのですが全員が参加してくれるのは嬉しかったですね。遊びの中で「新しく入ったスタッフの人柄」などを知れる良い機会になっています。
──接客において、メンバーの成長を感じる瞬間をお聞かせください。
嬉しいのは、黒服のメンバーがお客様に褒められている姿を目にしたときです。さらに喜びを感じるのは、名前で呼ばれている場面ですね。今日は「◯◯君はおるんか?」と聞かれた瞬間、私も胸が熱くなります。そういった出来事があると、すぐに挨拶に向かわせていますよ。やはり名前を覚えてもらえると、「頑張ろう」という気持ちになりますし、自信にも結びついています。そのために、毎日終礼で全部のお客様のことを振り返り、「どのホステスさんを指名されたか?」「ボトルや領収書」について把握してもらえるように、働きかけています。
成長を感じるのは、「アルバイト感覚」で入ったスタッフが、入社後に周りの意識の高さに圧倒されながらプロ意識に目覚め、実力を身につけていくとき。徐々に店舗の主力になり、力を発揮していく姿を見られるのは本当に嬉しいです。当社では頑張っていれば自ずとスキルアップできる環境が整っています。正社員になればまずマネージャーを担当し、その後も副店長や店長などにステップアップして活躍する道が拓けているんです。